[[工学]]

*デジタル信号処理 [#p73095e4]
#contents
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**離散時間システム [#l7ad7fec]
-連続時間信号をx(t)とすると間隔Tの離散時間信号はx(nT)となる。ここで間隔Tは一定なのでTを省略してx[n]と表記する場合もある。以降の説明ではTを省略した離散時間信号をx(n)と表記している。
-離散時間信号x(n)を別の時間信号y(n)に変換するシステム
--&mimetex(y(n)=\phi{[x(n-k)]});
-線形性の必要十分条件~
&mimetex(y(n)=\phi{[x(n)]});において以下の(1)及び(2)が成り立つ場合、線形システムであると言う。
--(1) &mimetex(y(t)=\phi{[ax(n)]}=a\phi{[x(n)]});
--(2) &mimetex(y(t)=\phi{[x_{1}(n)+x_{2}(n)]}=\phi{[x_{1}(n)]}+\phi{[x_{2}(n)]});
---(1)及び(2)をまとめて以下のように表記することも可能~
&mimetex(y(n)=\phi{[\sum^{}_{k}a_{k}x_{k}(n)]}=\sum^{}_{k}a_{k}\phi{[x_{k}(n)]});
-時不変の必要十分条件~
x(n)に対するシステム応答がy(n)であったとき、kシフトしてx(n-k)とした場合でも、システム応答がy(n-k)となっているとき、時不変システムと言う。
-線形時不変システム
--離散時間システムが線形性及び時不変の両方を満たす場合、線形時不変システム(linear time-invariant system:LTI system)と言う。
--&mimetex(y(n-k)=\phi{[x(n-k)]});
-インパルス応答~
&mimetex(\delta{(n)} = \left\{\begin{array}{cc} 1  &   n = 0 \\ 0  & n \neq 0 \end{array} );~
単位インパルス&mimetex(\delta{(n)});のシステム応答をインパルス応答と言い、&mimetex(h(n));と表す。
--&mimetex(y(n)=\phi{[\delta{(n)}]}=h(n));
-たたみこみ和~
以下のような表記を、x(n)とh(n)のたたみこみと言う。
--&mimetex(y(n)=\phi{[x(n)]}=\phi{[\sum^{\infty}_{k=-\infty}x(k)\delta{(n-k)}]});~
&mimetex(=\sum^{\infty}_{k=-\infty}x(k)\phi{[\delta{(n-k)}]});~
&mimetex(=\sum^{\infty}_{k=-\infty}x(k)h(n-k)); (または&mimetex(y(n)=x(n)\ast{}h(n));)~
&mimetex(=\sum^{\infty}_{k=-\infty}h(k)x(n-k)); (または&mimetex(y(n)=h(n)\ast{}x(n));)
-因果的なシステム~
システムの出力&mimetex(y(n_{0}));が入力&mimetex(x(n),n\leq{}n_{0});のみによって決定されるとき、因果的と言う。因果的なシステムにおけるインパルス応答と、たたみこみ和は以下のように表す。
--&mimetex(h(n)=0, n\lt{}0);
--(1) &mimetex(y(n)=\sum^{n}_{k=-\infty}x(k)h(n-k));
--(2) &mimetex(y(n)=\sum^{\infty}_{k=0}h(k)x(n-k));
---補足:数列の和の範囲を-∞〜∞としてしまうと、例えば上記式(1)においてy(n)を求める際に未来の信号であるx(n+1)などのシステム応答も必要となる。しかし未来の信号は扱えないのでフィルタを実際に実現するにあたり、インパルス応答に関してh(n)=0,n<0という条件を付けることにより、因果的システムとする必要がある。
-安定なシステム~
線形時不変システムにおいて以下の式が成り立つ場合、安定なシステムと言う。
--&mimetex(\sum^{\infty}_{n=-\infty}|h(n)|<\infty);
-線形差分方程式
--微分方程式から差分方程式へ
---微分の定義の復習~
&mimetex( \frac{df(x)}{dt} = \lim_{\Delta t \to 0} {f(x+\Delta t) - f(x) \over \Delta t});
---上記式の微分は連続的な変化に対する定義であるが、これを離散的な変化である差分として再定義する~
&mimetex( \frac{df(x)}{dt} \approx \frac{f(x+T) - f(x)}{T});~
---一般的にデジタル信号処理では現在の入力と過去の出力から現在の出力を得るので後方差分に置き換える~
&mimetex( \frac{df(x)}{dt} \approx \frac{f(x) - f(x-T)}{T});~
---よって現在の出力について以下の差分方程式が導かれる~
&mimetex( f(x) = f(x-T) + T\frac{df(x)}{dt});~
-周波数応答
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**フーリエ変換 [#g52ff0aa]
-基本周波数
--波が一定の周期Tで振動している時、その波は必ず基本周波数(=1/周期)の整数倍の波の重ね合わせによって表現可能である。
-スペクトルの間隔
--スペクトルの間隔は複素フーリエ係数の式によると、周期Tに反比例する。つまり理論上、周期を無限にとることにより、周波数スペクトルの間隔は限りなく0に近くなり、周波数の連続スペクトルとなる。この原理を適用したものがフーリエ変換であり、時間領域から周波数領域へ変換するための重要な式である。


**離散フーリエ変換 [#j76defeb]
-スペクトル分解能
--離散フーリエ変換では、連続的な波形からある時間間隔T秒だけを切り出して、新たにこれを周期Tの連続関数とすることにより、フーリエ変換を行っている(言い換えれば、周期T以上の波形の解析は不可能)。この周期Tをサンプリング時間と言い、またTの逆数を基本周波数または周波数分解能と言い、$ \Delta{f}=\frac{1}{T} $と定義する。周波数分解能$ \Delta{f} $は値が小さければ小さいほど、高い周波数を扱えることを示す。
--離散フーリエ変換は有限の離散データを計算対象としているので、サンプリング時間Tは、あるサンプリング周期$ \Delta{t_s} $とサンプリング数Nとの積に等しく、$ T=N\Delta{t_s} $となる。また、$ \Delta{t_s} $の逆数をサンプリング周波数と言い、$ f_s=\frac{1}{\Delta{t_s}} $と定義する。
--以上をまとめると、周波数分解能は$ \Delta{f}=\frac{1}{T}=\frac{1}{N\Delta{t_s}}=\frac{f_s}{N} $となる。よって高い周波数を扱うためには必然的にサンプリング時間Tを大きくとる必要がある。しかしサンプリング時間を大きくとるためには、サンプリング周波数を低くするか、サンプリング数を多くとる必要がある。ちなみに通常の離散フーリエ変換のアルゴリズムのオーダーは$ O(N^2) $であるので、計算時間を考えると、サンプリング数を増やすのは現実的では無い。なのでサンプリング時間と周波数分解能の両者には、一種の不確定性原理の関係があると言える。
--離散フーリエ変換では、連続的な波形からある時間間隔T秒だけを切り出して、新たにこれを周期Tの連続関数とすることにより、フーリエ変換を行っている(言い換えれば、周期T以上の波形の解析は不可能)。この周期Tをサンプリング時間と言い、またTの逆数を基本周波数または周波数分解能と言い、$ \Delta{f}=\frac{1}{T} $と定義する。
--離散フーリエ変換は有限の離散データを計算対象としているので、サンプリング時間Tは、あるサンプリング数Nとサンプリング周期$ \Delta{t_s} $との積に等しく、$ T=N\Delta{t_s} $となる。また、$ \Delta{t_s} $の逆数をサンプリング周波数と言い、$ f_s=\frac{1}{\Delta{t_s}} $と定義する。
--以上をまとめると、周波数分解能は$ \Delta{f}=\frac{1}{T}=\frac{1}{N\Delta{t_s}}=\frac{f_s}{N} $となる。よってサンプリング周期$ \Delta{t_s} $が小さければ小さいほど、高い周波数を扱えるが、サンプル数Nとサンプリング周期$ \Delta{t_s} $の積はTとなり、一定でなければならないので、サンプリング数も多く取らなければならない。ちなみに通常の離散フーリエ変換のアルゴリズムのオーダーは$ O(N^2) $であるので、実用的な計算時間を考えると、高い周波数を扱うために安易にサンプル数を増やすのは好ましくない。しかしサンプル数Nを極端に小さくとってしまうと、周波数領域でのスペクトルを解析するにあたり、十分なデータを得られない可能性がある(なぜならばサンプル数Nは周波数領域でのスペクトルの本数であるから)。なのでサンプリング周期$ \Delta{t_s} $とサンプル数Nの両者には、一種の不確定性原理の関係があると言える。
--与えられる計算資源量と、解析対象で真に必要とされているパラメータは何なのかを考慮して、適切にサンプリング時間Tやサンプリング周期$ \Delta{t_s} $、サンプル数Nを決める必要がある。


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