[[数学]]

*微分方程式 [#qf102278]
#contents
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**予備知識 [#z75906fc]
***微分方程式の種類 [#pb235b48]
-以下のように表現される式をn階線形微分方程式という
--$ {a_n(t)}{\frac{d^n x(t)}{dt^n}}+{a_{n-1}(t)}{\frac{d^{n-1} x(t)}{dt^{n-1}}}+\cdots+{a_0(t)} x(t) = f(t) $ 
--$ f(t)=0 $のとき、上記の微分方程式を斉次方程式、又は同次方程式と言う
--$ a_k(t) (k=0...n) $の全ての係数が定数であるとき、上記の微分方程式を定数係数n階微分方程式と言う
--偏微分方程式と区別する場合には、特に常微分方程式と言う

***一般解と特殊解 [#kb6d809a]
-n階線形微分方程式の解は、n解線形微分方程式の特殊解と斉次方程式の一般解との一次結合で表される。


**定数係数の斉次線形常微分方程式 [#ja9d39f8]
***変数分離型の解法 [#e10f70a2]
-以下のように表現される式を変数分離型の微分方程式という
--$ \frac{dx(t)}{dt} = f(x)g(t) $
-解き方の方針としては、変数をそれぞれ右辺と左辺に別にして両辺を積分する。
--$ \frac{1}{f(x)}\frac{dx(t)}{dt} = g(t) $
-両辺をtで微分する。なおCを積分定数とする。
--$ \int{}\frac{1}{f(x)}\frac{dx(t)}{dt}dt = \int{}g(t)dt + C $

***1階線形常微分方程式の解法 [#j01e2b1d]
-以下のように表現される式を定数係数の1階線形常微分方程式という
--$ \frac{dx(t)}{dt} + ax(t) = 0 $
-この式は変数分離型において、$ f(x) = -a $とした場合と等しいことが分かる。
-解き方の方針としては、解が$ x(t) = e^{\lambda t} $という形であることを仮定して微分方程式に代入する。
--$ \lambda e^{\lambda t} + ae^{\lambda t} = 0 $
--$ \lambda = -a $
-よってこの方程式の一般解はCを任意定数とすると$ x(t) = Ce^{-at} $となる。

***2階線形常微分方程式の解法 [#qf3bd8ce]
-以下のように表現される定数係数の2階線形常微分方程式の解き方について考える
--$ \frac{d^2 x(t)}{dt^2}+a\frac{dx(t)}{dt}+bx(t) = 0 $
-方針としては、1次独立な解を2つ見つけ、それらの解の1次結合を作ることにより、一般解を求める。
-まず、解が$ x(t) = e^{\lambda t} $という形であることを仮定して微分方程式に代入する。
--$ \lambda{}^2 e^{\lambda t} + a\lambda e^{\lambda t} + b e^{\lambda t} = 0 $
--$ \lambda{}^2 + a\lambda + b = 0 $
-$ \lambda $に関する上記方程式を、特に特性方程式という。この方程式の根が$ \lambda = \alpha , \beta $とすると、$ x(t) = e^{\alpha x} , e^{\alpha x} $はそれぞれ微分方程式の特殊解となる。
-これらの根の一次結合が微分方程式の解となるが、$ \alpha , \beta $が異なる二つの実数根、異なる二つの虚数根、重根のそれぞれにおいて場合分けが必要となる。

-異なる二つの実数根の場合
--$ C_{1}, C_{2} $を、それぞれ任意定数とすると実数根の場合の一般解は以下のように表現される。
---$ x(t) = C_{1}e^{\alpha t} + C_{2} e^{\beta t} $
-異なる二つの虚数根の場合
--$ C_{1}, C_{2} $を、それぞれ任意定数とすると、実数根と同様に以下のように表現される。
---$ x(t) = C_{1}e^{\alpha t} + C_{2} e^{\beta t} $
--ただし指数部分に虚数が含まれているので、オイラーの公式を用いることにより扱いやすい形に等式変形が可能である。
--ここで、$ \alpha = p+iq , \beta = p-iq $、$ C_{1}' , C_{2}' $を新たに置き換えた任意定数とすると以下のように表現することが可能である
---$ x(t) = C_{1}'e^{pt}\cos{(qt)} + C_{2}'e^{pt}\sin{(qt)} $
-重根の場合
--$ C_{1}, C_{2} $を、それぞれ任意定数とすると重根の場合の一般解は以下のように表現される。
---$ x(t) = C_{1}e^{\alpha t} + C_{2}te^{\beta t} $

***2階線形常微分方程式の例 [#of9086f4]
CENTER:&ref(数学/微分方程式/spring_dumper.png,100%);
-質量mの物体(滑らかに床に接しているボール)がばね定数kのばねと、ダンパー係数$ \gamma $のダンパーにつながっているとする
--ちなみにこの様なシステムを、ばね・ダンパー系という。
-右方向を正としてばねが長さxだけ伸びた場合の運動方程式は 以下のように表現される
--$ m\frac{d^2 x}{dt^2} = -kx(t)-\gamma\frac{dx}{dt} $
-式を整理することにより、この問題は2階の線形常微分方程式となっていることが分かる。
--$ \frac{d^2 x}{dt^2}+\frac{\gamma}{m}\frac{dx}{dt}+\frac{k}{m}x(t)=0 $


**非斉次線形常微分方程式 [#na5fb104]
***定数係数の非斉次1階線形常微分方程式 [#w6a6a284]
-以下のように表現される式を定数係数の非斉次1階線形常微分方程式という
--$ \frac{dx(t)}{dt}+ax(t) = f(t) $
-解き方の方針としては、$ f(t) = 0 $とした斉次方程式の一般解を求める。そしてその一般解に含まれる任意定数をtの関数とし、それを非斉次方程式に代入して最終的な解を求める。特にこの方法を定数変化法と言う。
-まず、解が$ x(t) = e^{\lambda t} $という形であることを仮定して斉次方程式の解を求めるが、1階線形常微分方程式の解法より$ x(t) = Ce^{-at} $が解であることが分かる。
-次に求めた斉次方程式の解の任意定数をtの関数とした$ x(t) = C(t)e^{-at} $を、非斉次方程式に代入する
--$ \frac{d}{dt}(C(t)e^{-at})+aC(t)e^{-at} = f(t) $
--$ \frac{dC(t)}{dt}e^{-at}-aC(t)e^{-at}+aC(t)e^{-at} = f(t) $
--$ \frac{dC(t)}{dt} = e^{at}f(t) $
-ここで$ t=u $と変数変換した、今回は例として式をt0からtまでduで定積分する
--$ \int_{t_0}^{t}\frac{dC(u)}{du}du = \int_{t_0}^{t}e^{au}f(u)du $
--$ C(t)-C(t_0) = \int_{t_0}^{t}e^{au}f(u)du $
--$ C(t) = \int_{t_0}^{t}e^{au}f(u)du + C(t_0) $
-上記式を任意定数をtの関数とした斉次方程式の解に代入する。ここで$ C(t_0) $は初期条件として与えられる任意定数Cとする。
--$ x(t) = e^{-at}(\int_{t_0}^{t}e^{au}f(u)du + C) $
-これが求める最終的な定数係数の非斉次1階線形常微分方程式の一般解となる。
-ちなみにCは初期条件として与えられる定数であるが、$ C=0 $の場合に得られる式を特殊解と言う

***非斉次1階線形常微分方程式 [#o750632c]
-定数係数ではない、以下のような非斉次1階線形常微分方程式について考える
--$ \frac{dx(t)}{dt}+a(t)x(t) = f(t) $
-定数係数の場合との違いとしては、斉次方程式の一般解が少し異なる点である。以下に斉次1階線形常微分方程式の一般解の求め方を示す
--$ \frac{dx(t)}{dt}+a(t)x(t) = 0 $
--$ \frac{1}{x(t)}\frac{dx(t)}{dt} = -a(t) $
-両辺をtで積分する。なおCを任意定数とする。
--$ \int\frac{1}{x(t)}\frac{dx(t)}{dt}dt = -\int{}a(t)dt+C $
--$ |log(x(t))| = -\int{}a(t)dt+C $
--$ |x(t)| = e^{-\int{}a(t)dt+C} $
--$ x(t) = \pm{}e^{C}e^{-\int{}a(t)dt} $
-ここで$ \pm{}e^{C} $もまた任意定数であるので、改めてCとする。また扱いやすい形にするために、$ A(t) = \int{}a(t)dt $とすると最終的に以下の式となる。
--$ x(t) = Ce^{-A(t)} $
-斉次方程式の一般解に定数変化法を適用して非斉次方程式に代入する。
--$ \frac{d}{dt}(C(t)e^{-A(t)})+a(t)C(t)e^{-A(t)} = f(t) $
--$ \frac{dC(t)}{dt}e^{-A(t)}-\frac{dA(t)}{dt}C(t)e^{-A(t)}+a(t)C(t)e^{-A(t)} = f(t) $
-ここで、$ \frac{dA(t)}{dt} = a(t) $であるので
--$ \frac{dC(t)}{dt} = e^{A(t)}f(t) $
--$ \int{}\frac{dC(t)}{dt}dt = \int{}e^{A(t)}f(t)dt $
--$ C(t) = \int{}e^{A(t)}f(t)dt + C $
-上記式を任意定数をtの関数とした斉次方程式の解に代入すると以下の式となる
--$ x(t) = e^{-A(t)}(\int{}e^{A(t)}f(t)dt + C) $
-これが求める最終的な非斉次1階線形常微分方程式の一般解となる。


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